ページ

2012/09/19

とちの実

森林公園をお散歩していました。
ザワザワザワッという風が木々に触れながらこちらに近づいてくる音。
風が頭上をすぎて、しばらくすると、
コンッ。カツン。
何かが落ちてきました。
落下の衝撃で外の皮が勝手に剥けて、中身のとちの実がコロコロと落ちています。
一生懸命拾っていらっしゃる知らないおじさまと目が合い、微笑みました。
ちょっと照れ笑い。
木の実を拾うことは、池で魚を見ると捕まえたくなったり、キノコがはえていると採りたくなるような人間の狩猟本能や、遺伝子の中の遠い記憶にアクセスするような気がします。
ザワザワザワッと
また風が遠くから近づいてきました。
今度は私も拾いたくて、樹の上をずっと見ていると、コツン、とひとつ落ちてきました。
しかし、おじさまの方が拾うのが早かった!
また微笑み合う私とおじさま。
本気になっている自分がすこし恥ずかしくなって、その場を離れました。
おじさまもたくさん拾って気が済んだのか、反対側に立ち去って行かれました。
そのとき、
コンッ、コンッ。
ととちの実が落ちる音。
と同時に、私は振り返ってダッシュでとちの実を手に入れました。
Yes!
遠くでさっきの知らないおじさまが振り返り、うなづいて微笑んでくれました。
私もまた照れながら、満面の笑みでお辞儀をして帰りました。
とちの実は、食べるのが大変なので、飾って楽しんでいます。