カフェモンサンルー

2011/12/25

クリスマス・カロル

 
【彼はこの世では何事でも善い事なら必ず最初にはだれかしらに笑われるものだということをちゃんと知っていたし、またそういう人々は盲目だということを知っていたので、おかしそうに眼元にしわをよせて笑えば盲目という病気がいくぶんなりと目立たなくなるだけ結構だと考えていたからである。彼自身の心は晴れやかに笑っていた。それで彼にはじゅうぶんだった。
それ以来、幽霊との交渉はなかったが、彼はその後は絶対禁酒主義を奉じて暮らしていった。そしてもし生きている人間でクリスマスの祝い方を知っている者があるとすれば、彼こそその人だといつも言われていた。
私たちについても同じことが言われますように、私たちのすべての者がそうなりますように。
それからティム坊が言った通り、
「神よ、私たちをおめぐみください、みんな一人一人を!」
 
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 
クリスマス・カロル/ディケンズ
村岡花子 訳
新潮文庫 286円+税
カフェモンサンルー