カフェモンサンルー

2015/02/12

テオの旅

数年前に古本屋さんで出会った【テオの旅】。
買ったときは、なぜか読んでもちっとも頭に入って来なくて、
買って失敗したかなあ?と本棚にしまいました。
最近、なにかと物騒なニュースを見て心が痛む中、
ふと本棚の【テオの旅】が目に入りました。
気になって読み始めたら、すごく頭に入ってきます。

本は、出会うタイミング、読むタイミングがあるなあとつくづく思います。

悩み事があるときは本屋さんをぶらぶらします。
なんとなく光って見える本棚や、なんとなく気になるコーナーへ呼ばれてゆくと、
必要なことが書いてある本に出会ったりします。

偶然の不思議。

【テオの旅】は、原因不明の病気になった十四歳の少年を、
天衣無縫で無神論者の伯母さんが、その病気を治すために、世界一周宗教の旅を計画し世界中の聖地へと連れ出す冒険小説。
人の心に幸せをもたらすはずの宗教を信ずる人たちが何故争うのか?
人は何故神を信じるのか?
そして神とは何なのか?
キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、仏教、そして世界のアニミズムのすべてを
十四歳の少年にわかりやすいように、それぞれの宗教のそれなりに地位のある人たちが教えてゆく。
冒険小説の形をとりながら、わかりやすく説明してくれるので、
ちんぷんかんぷんな世界もなんとなく輪郭がとれてくるような気がします。
それでもなかなかに難解ではありますが。
偏りがないよう、中立を保つ役割を、「伯母さん」が引き受けています。

上下巻があります。2002年の本なので、古本でしかないようですが、
興味のある方は探してみてください☆

【テオの旅/カトリーヌ・クレマン】

カトリーヌクレマンは、フランスで最も精神分析に精通した女性の1人と言われる哲学者。
ユダヤ人の祖父母をアウシュビッツで亡くしたという著者は、
「神が存在するなら、どうしてこんな残虐行為を許したのか?」という疑問を抱き、
それが【テオの旅】を執筆する原点になっているそうです。
カフェモンサンルー