カフェモンサンルー

2009/02/12

ボイジャー1号さん

以下抜粋【1977年、火星や木星を探査する目的で打ち上げられたボイジャー1号と2号。そのプロジェクトに関わる科学者たちにとって、彼らはいつのまにか自分の子供と同じ存在になっていました。彼らは息を飲むような映像を宇宙の彼方から送り続けてきていたのですが、ついに、1号が電波の届かない宇宙の彼方へと飛び去ってしまう日がきたのです。映像解析担当の女性科学者は、息子のような存在だったボイジャーが永遠に手の届かない所へ行ってしまうことに心を痛めていました。
いよいよ交信がとぎれとぎれになり、ついに電波が途絶えてしまいます。ボイジャープロジェクトの部屋もとりあえず今までの部分は活動停止。でもその女性科学者は交信の途切れたボイジャーに、「坊や、もう一度ママの方を振り向いて」と伝えたそうです。
それから一週間後、研究室の荷物の片付けを終わった彼女が、部屋の鍵を閉めようとしたその時、ボイジャーからの映像が届いたことを示すランプがつきます。途切れたはずの電波がもう一度だけ奇跡的につながり、一枚の写真が届いていました。ぱっと見るとそれはただ小さな星がたくさん映っている普通の宇宙の写真。でもコンピューターで解析を進めると、その写真の中央に写っているのは、まぎれもなく彼のふるさとの地球。周りには金星、木星など太陽系の家族も写っています。彼は彼女の想いに応えて、もう一度だけ最後の家族写真をとるために振り返ったのでしょうか。】いただいた冊子「THERAPY」の大野百合子さんのエッセイから抜粋させていただきました。
【おきな】は月の裏側だから、地球を永遠に見ることができないのかもしれないですね。いつか誰かが回収して、地球に帰り、労いと賞賛の言葉をかけてもらえるといいな。
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