知命
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhc4iDscJbwy__kGRdwlvvvkTLP6_cCHtTdk1vd5HzwDSyTBagyr9J_Q3aisSiVsP6NHfkcShDa13_Edte78bfu8m-iE02IhcdGgKSdfiuNEL4HJ1JdYLqUIIZOstuYaj7DXt_pyveIhjRv/s320/120811_0809-789208.JPG)
知命 (ちめい)
他のひとがやってきて
この小包の紐 どうしたら
ほどけるかしらと言う
他のひとがやってきては
こんがらかった糸の束
なんとかしてよ と言う
鋏(はさみ)で切れいと進言するが
肯(がえ)んじない
仕方なく手伝う もそもそと
生きてるよしみに
こういうのが生きてるってことの
おおよそか それにしてもあんまりな
まきこまれ
ふりまわされ
くたびれはてて
ある日 突然と悟らされる
もしかしたら たぶんそう
沢山のやさしい手が添えられたのだ
一人で処理してきたと思っている
わたくしの幾つかの結節点にも
今日までそれと気づかせぬほどのさりげなさで
【知命/茨木のり子】
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