カフェモンサンルー

2015/07/12

夕方しあわせのにおい

どこからか
醤油とみりんと日本酒を合わせて
煮立てているにおいがするよ。

いいなあ。
日本の夕方。
しあわせな夕食の風景。


昨晩、涼しくなってから夜道を散歩していたら
どこからか赤ちゃんの泣き声。
火がついたような、なんて慣用句がぴったりの泣き声。
あらら、大丈夫かな?と思っていたら、角からひょいと現れた。
ガッチリとした体格の日焼けしたお父さんが、赤ちゃんをおんぶしている。
タンクトップだから、赤ちゃんがお父さんの背中の素肌に当たってて見るからに暑そうだ。
ちょっと後ろからついていく形になり歩いてゆく。
ぎゃんぎゃん泣く赤ちゃん。
ガバッと勢いよく屈んで、おんぶしてた赤ちゃんを手前に抱き直したお父さん。
ドキリとした。地面に叩きつけるんじゃないかと思ったくらいの勢いだったので。
お節介かと思ったけれど声をかけてみた。
「暑くて大変だねぇ。」
「……。」
「おなかすいたのかなあ。おっぱいは飲んだの?」
「(小声で)…っせーな。」
「おむつは替えたの?」
「……さっき替えました。」
「パパもえらいね、がんばっているね。」
「………。」
曲がり角にきて別々の道になり、
「大変だけど、がんばってね。がんばるんだよ。」
何て言ったらいいのかわからなくて、なんだか間抜けな励ましを背中に投げられた若いお父さんは呆れたかもしれません。
でも、なんかお父さんが少し泣いているようにも見えました。

赤ちゃんは、パパと私が喋っている間に寝てしまいました。

醤油とみりんと日本酒のいいにおいの発信地が、
ガッチリとした体格のパパさんと、赤ちゃんのお家からだといいなあ、と思いました。
カフェモンサンルー