治りたくない人

世の中には
治りたくない人がいる。
治ると困るんだ。
理由がなくなるから。
でも
まわりからエネルギーは欲しい。
大丈夫？って優しくして欲しい。
タイミングもあるかもしれない。
その人の人生の
洞窟から光を求めて自ら這い出てくる時期。
このままでは本当に嫌だと
心から変わりたいと願うとき
目の前にヒントがたくさんあったことに
気づくのかもしれない。
すでに道は拓けて朝が来ていたことに
気づくのかもしれない。
治りたくない、という隠された願望に
幸せになりたくない、という自分に自分でかけた魔法に
気づくのかもしれない。
幸せになってはいけない、と自らを罰していることに。
謎の、罪と罰。
そしてそれは、誰かに対する静かな復讐なのかもしれない。
何重にも鍵をかけられた無意識の箱の底の底に。