カフェモンサンルー

2017/03/15

花ひらく

burst 花ひらく /吉野 弘


事務は 少しの誤りも停滞もなく 塵もたまらず

ひそやかに 進行しつづけた。

30年。

永年勤続表彰式の席上。

雇主の長々しい賛辞を受けていた従業員の中の一人が

蒼白な顔で 突然 叫んだ。

−−諸君!

魂のはなしをしましょう

魂のはなしを!

なんという長い間

ぼくらは 魂のはなしをしなかったんだろう−−

同輩たちの困惑の足下に どっとばかり 彼は倒れた。

つめたい汗をふいて。

発狂

花ひらく。

−−又しても 同じ夢。



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この時期になると
読みたくなる詩です。

先日、卒業式に出席しました。
校長先生、在校生代表、卒業生代表のおはなしは偶然みなさん「時代の変化」についてをテーマに
まとめられていました。
そんな中、PTA会長の方のお話も時代の変化についてでしたが、後半のお話が
こどもたちとの生活の中で、「今日はお弁当がいるのか」「おにぎりはひとつなのかふたつなのか」
「出されたプリントはとっくの昔に終わった行事についてのプリント」などなど
父兄なら「あるある!」と共感できる内容で体育館の温度が一体感により一度ほどあがったのでは
ないかと思われるなんともいえないあたたかさにつつまれたのでした。先生方も子供たちもフフフと笑っていましたね。
これは「魂のはなし」なのではないかと思いました。
血の通った、よいお話でした。
私は卒業式を思い出す度に、このPTA会長のお話と、あたたかい会場の雰囲気を一生忘れないだろうと思いました。

肚を割って話す、肚を割ったときにあるもの。魂。
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