カフェモンサンルー

2018/03/31

花ひらく

3月の終わりになると
吉野弘さんの詩を思い出します。
メモします。

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burst─花ひらく

吉野 弘

事務は 少しの誤りも停滞もなく 塵もたまらず ひそやかに進行しつづけた。

三十年。

永年勤続表彰式の席上。

雇主の長々しい賛辞を受けていた従業員の中の一人が 蒼白な顔で 突然 叫んだ。

─ 諸君!
魂のはなしをしましょう
魂のはなしを!
なんという長い間
ぼくらは 魂のはなしをしなかったんだろう ─

同輩たちの困惑の足下に どっとばかり 彼は倒れた。つめたい汗をふいて。

発狂
花ひらく。

─ 又しても 同じ夢。

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